日々雑記 第8話
老け顔の話
私は自他共に認める老け顔だ。
小学生の頃ついたあだ名は「おばちゃん」。
中学生の時には「女子大生?」と言われ、高校生の時は「お仕事はなんですか?」と言われ、
20才の時には「子供は普段、預けてるの?」と聞かれた。
生まれてこのかた、実年齢より若く見られたことはなく、年相応かそれより下に見られる友人が
本気でうらやましかった。

服装に若さがないのかと思ったので、その時々ではやっている物を着てみたりした。
だが、試着室で思わず頭を抱えるほど似合わない。
「見慣れないだけかも」と自分を慰めて勇気を振り絞って買って着ていたが、当時の仕事場の同僚に
「何若作りしてるのよ?」とさらりと言われ撃沈。
彼女に悪気はなくても私が傷ついてしまったことに変わりはなく、それからは、もうなんだか
当たり障りのないものばかり着ている。
だがしかし、顔立ちに相当する物を着ると、やっぱり「おばさんだ・・・」。

お化粧も、顔立ちのせいで「おばさんテイスト」から抜け出せない。
技術が足りないのかと思って、デパートの化粧品売り場のカウンターに行って、
「老け顔に見えるのがいやなんです〜」と訴えて化粧してもらうが、やっぱり、
おばさんが若い子の化粧を無理に真似したみたいに見える。
メイクカウンターのお姉さんも、貼りついた笑顔のまま、一瞬絶句。
商売なのを思い出して、すぐさま、「すごく印象かわりますね〜」とフォローし始めるが、
化粧が一通り終わった瞬間のあの微妙な「間」はわかる。

そんな風に何度も撃沈し続けた20代前半。
さすがに私も多少学習したし、あきらめもついた。
 思うに、私の間違いは目指すべき目標だった。
老け顔って言うのは良い言い方をすれば「大人っぽい」「落ち着いている」。
対して、私はこれまで、その時の世の中で最大公約数的な服を着ようとしていたし、
化粧をしようとしていた。どっちかというと、女っぽいものだ。
ある日ふと、冷静に、客観的に考えてみた。
美人にもタイプがある。かわいいタイプとおきれいタイプ。
上原さくらちゃんタイプと上原多香子ちゃんタイプといおうか、
吉川ひなのと川原亜矢子といおうか。
メイク雑誌で言うと「花びらのようなやわらかさ」ではなく「きりりとひきしまるさっそうとした雰囲気」
の方を目指すべきだったのだ。
なんてこった、右往左往してる間にあっという間に20代後半。
自分の発見に従ってメイクしてみる。
やっと納得できた!良かった!
これからは悩まないぞ、やっほう!

と、言う話を友人にしたら、友人ひとこと
「顔に年齢が追いついてきたのよ、それは」

おあとがよろしいようで。ぅわーーーーんっ!!
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