日々雑記 第3話
化粧の話
お化粧の話をしましょう。
それにはまず、私の容貌コンプレックスのことを少々。私は赤ん坊の頃から「りりしい」顔立ちだったそうです。
必ず男の子でしょうと言われ、男の子にしては肌のきめが細かいわね、
と言われ続けたのだと言います。
それに対して、妹は女の子としか言いようのない顔立ちでした。
目が大きくて、口元が柔らかだったのでしょう。
二人とも母親似でしたが、似たところが違ったのです。
小さい頃から、妹は「かわいい子ね」と言われ、わたしは「しっかりした子ね」と言われました
まあ、姉妹には付き物のお話でございます。
私は顔立ちの他に、言動もきつく、年少者にも容赦しないその性格のため、
「きつい」「意地悪」などと言われ、親戚連中への評価もがたがたでした。
物心ついてから実家を出るまでの年月、「きつい」「意地悪」「かわいくない」「根性が悪い」
(本当に全部言われてたんですよ。面と向かって)と呪文の様に言われ続けて来たせいで、
私はすっかり自分というものに全く自身がない人間になりました。
もちろん、容姿もです。
ですから、周りの女の子や妹が、こぞっておしゃれに関心を抱き始める年になっても、
私は全く、そういったものに目を向けませんでした。
親戚のおばさんの1人が言ったのです。
「あんたは性格が悪いから、それが顔にも出てる。そのままじゃかわいくはないよ」
おばさんにそう言われてからその後、私の性格は全く変わっておりませんでしたから、
顔だってブスなままだと思って疑いもしなかったのです。
そしてさらに私は思っていました。
ブスがいくら頑張ったって、骨組みは変わらないんだから、滑稽なだけだと。
失敗して「あんたなんかいくらやったってむだよ」と笑われるのが怖かったのです。私は高校生の頃、演劇部にいました。
初めてのお化粧は舞台化粧でした。ファンデーションではなくてドーランです。
まあ、化粧慣れしない高校生が自分たちでやったメイクですから、
今写真を見返しても、失敗した宝塚、化け物です。
そこはそれ。みんなでやれば怖くない、あたしがあほならあんたもあほよ、
位のお祭り気分でしたから、当時はそれで十分楽しかったのです。
私にとっては、いい思い出以上に、本当に良い経験でした。
お化粧は楽しい、と思うことができたからです(化け物メイクだったけど)。変身は楽しい。自分がいつもと変わるのが楽しい。
そう言う動機でいいんだな、と思ったらなんだか力が抜けました。
当時大好きだったマンガ家さんが、あとがきに書いてた事も、さらに私を気楽にさせました。
「お化粧は、いつもより3割り増しくらい女っぽくなればいい」
ポイントは「女っぽく」です。「かわいく」とか「きれいに」とかではないんです。
冷静に周りを見回したら、すごくお化粧上手な人ってそんなにいなかったんですよ。 「お化粧してる」という事実がまず重要であって、それ自体が「女っぽい」行為なワケですから、
まずはそれだけでいいんだわ、と。
さらに技術を磨きたきゃ磨けばいいし、そのままでよければそのままいけばいい。
だって私はTVに出たり、女優を目指したりするわけじゃないんですから。かといって、まったくの修行なしに街へ出るのは勇気がいりますね。
そんな時力になってくれるのが女友達とか姉妹です。
きちんと毎日メイクしてる人って、ある程度メイクが好きなんですよ。
「私もお化粧してみたいけど、何をどうしていいか分からないのよー」と言うと、
まあ 5人に3人は「じゃあ教えてあげる」と言ってくれると思います。
技術まではちょっと・・・と言われるかも知れませんけど、その時には
「最低限必要なものが何かだけでも教えてくれない?」と言えば、 嫌よとは言われないんじゃないでしょうか。
これを聞いておくだけでも、勉強になるんですよ。
デパートとかのメイクカウンターで、いらないもの買わされる可能性がぐっと減りますから。
で「教えてあげる」と言ってくれる3人のうち、2人くらいは、
「実はあなたもお化粧覚えたらいいのにと思ってた」と考えてくれてるんじゃないかな。
これは別に、バカにしたりことさらブスだと思ってるわけではなくて、
自分が楽しさを知ってるから、あなたもその楽しさを知ってくれたらいいのに、っていう感じなのです。
共通の趣味を持つ人を増やしたい、というとわかりやすいかもしれない。
で、さらにおせっかい、いや、面倒見の良い友人がいると、「じゃあ一緒に化粧品買いに行ってあげる」
とまで言ってくれると思います。まだお化粧をしたことのない、でもそろそろやり方だけでも覚えとかないと
いざというとき困るわね、という方々。
まあ、頑なにならず、まずトライです。
誰だって最初は失敗します。大丈夫。やってるうちにうまくなりますから。
なんだか長くなりましたね。このお話はまたしたいと思います。
次はメイクカウンター編か?!